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*袴(はかま)のはなし

*袴(はかま)のはなし


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◎袴(はかま)のはなし
袴は和服の最高の礼装とされていますが、この袴についてお話をします。
袴は、穿裳(はかも)から転じたものとされ、袴の名称は、日本書紀、古事記等にもみられ、神代の昔から生活に用いられていたことが「倭名類聚妙(わめいるいじゅうみょう)」や「新撰字鏡(しんせんじきょう)」の漢和辞書によれば、波賀萬(はかま)、婆加摩(ばかま)、志太乃波加萬(したのはかま)、須萬之毛能褌(すましものふんどし)、知比佐岐毛能(ちびさきもの)などよばれ、現在使用されている袴とは相当異なった形で、陰部(いんぶ)を覆(おお)うところの褌(ふんどし)の類の一種であったようです。時代と共に形状も色々と変わり、現在用いられている剣道の稽古袴は、長袴(ながばかま)を短く仕立てた平袴(ひらばかま)と、乗馬に便利な襠(まち)をたかくした、馬上袴(ばじょうばかま)を改良した襠高袴(まちたかはかま)からきていると考えられます。そして、袴を前から見ると、五本のひだがあり、裏側には一本のひだが通っています。このひだは先人が袴を使用するにあたり、人として日常の心掛けに結びつけて作ったもので、五つのひだは、五輪(ごりん)、五常(ごじょう)の道を訓(おし)えたものであるといわれています。
即ち、君臣(くんし)・・・忠(ちゅう)、父子(ふし)・・・孝(こう)、夫婦(ふうふ)・・・和(わ)、長幼(ちょうよう)・・・愛(あい)、朋友ほうゆう)・・・信(しん)、また、仁(じん)、義(ぎ)、礼(れい)、智(ち)、信(しん)を表、一本のひだは、二心ない誠の道を示したものであるとされています。従って私たちは袴をはく度にその意味を心にきざみ使用したいものです。
次に袴の効用面から見ますと、下に二口と両脇に窓があり、夏季の流汗淋漓の猛稽古にも袴の気温、気湿の調節が妙で、ムレルことなく、厳寒にあっても放熱による両脚の冷え込みも少ないので疲労しがたいことにもつながります。しかも袴はフワフワと軽く両脚を包んでいる為、相手の竹刀があやまって当たっても、その衝撃力が、非常に弱められます。加えて袴には腰板があり、これは一部腰椎を後方から圧抵して腰椎前巒を強要し、正しい姿勢の基盤をつくり、ひいては下腹部を突きだすことになり腰をたたせることに役だっています。さらに前紐は長く胴を三廻り、後紐を一廻りあってそれぞれの紐を締めることによって下腹部に力が入り、武道で最も重視される丹田力(たんでんりょく)を養うことができます。このように、精神的、肉体的、行動的にも好結果をもたらし、美的価値すらも具現する日本の文化遺産ともいうべき袴を私たちは愛し、常に清潔(せいけつ)な折目(おりめ)正しい袴で稽古に励みたいものです。

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