*払い技
*払い技
※払い技
相手を打つためには、相手を打てる状態を待たないで、自分の方から積極的にしかけて、相手の構えをくずして打つ方法があります。これを払い技といい、基本の段階でたいへん大切な技です。十分に練習をしてください。
※なぜ相手の竹刀を払わなければならないのか。
相手の竹刀先が自分の正中線にあると、打って出ようとしても相手の竹刀が体につかえてしまって進めません。
無理に打って出たとしても逆に打たれることになります。
面や小手を打つためには、まず相手の竹刀先を横にはずしてやらなければなりません。
※払うときの竹刀の部分
(1)相手の竹刀…竹刀の鍔から竹刀までの長さの二分の一ぐらいのところを払います。
上達したらもっと鍔に近いところを払うようにします。
(2)自分の竹刀……竹刀の打突部(物打ち)のところで払います。
※手の使いかた
(1)手首の使いかたがたいへん重要になります、正確な使い方は難しいので、次の二つの点を注意するようにします。
①左手首の位置をできるだけ動かさないようにすること。
払うときに手首が動きやすいので注意しましょう。
②手首の関節をできるだけやわらかにして握ります。
固くにぎると、なめらかな竹刀の使い方ができません。
(2)払って振りかぶるのではなく、払いながら振りかぶる気持ちで動作を連続させます。
(1)右へはらった場合……面と小手と胴がすきになります。
剣道では一つの技に二つの線を使うのはよくありません。
(2)左へはらった場合……面と胴がすきになります。
最初の練習の段階から、一つの線で一つの技ができるようにします。
左小手もすきになりますが、この場合は打っても有効打になりません。
※払うとどこにスキができるか?
(3)右へはらっても左へはらっても「つき」がスキになりますが、みなさんの場合はやらないほうが良いと思います。
相手の竹刀を右または左に(自分からみて)払った場合相手のどこにスキができる(構えがくずれる)か考えてみましょう。
※学校の授業では中学生には「つき」は教えないことになっています。
※手首のスナップを使って払う
払い技というのは相手の竹刀を払って構えをくずし、その瞬間に攻めていく技です。
払うコツは右手が力まないよう払い方に手首のスナップを使うことです。力んで行うと、逆にスキをつくってしまい打たれてしまいます。
※相手の竹刀の高さによって払い方はちがう
表から相手のスキをついて竹刀を払い、すかさず面を打つ技。「表」とは、相手の左側のことです。相手の竹刀の右側(相手にとって左側)から打つ場合に、表から打つといいます。
払い技において、相手の剣先が高い時と低い時とでは、当然な払い方がちがってきます。
※払う際、無駄のない円運動で振りかぶります。
※なぜ払うのか
払わずに打っていくと相手の竹刀がつかえるし、出ばな技などを打たれやすい。そのため、相手の剣先を横に外すことで打ちやすくするためです。つまり、自分に向けられている相手の竹刀を正中線から外すのです。
打つために払うのだから、払ってから打つまでの動きはスムーズに一拍子になっていることが大切です。
払いと打ちが別々の動きになっていると、スキができて逆に攻められてしまいます。
竹刀を払いうと同時に、踏み込む右足がついていくように心がけなければなりません。
◎払って面(払い面)
自分が打つ部位につい目がいきがちですが、ぜったいに相手の目から自分の目をそらしてはいけません。これは払って胴の場合も同じです。
〔練習のポイント〕
(1)表から(右から)払う場合……右足を前に出しながら表から強く払って振りかぶり、同時に右足を踏み込んで、面を打ちます。
(2)裏から(左から)払う場合……右足を前に、出しながら払って振りかぶり、同時に右足を踏み込んで、面を打ちます。
◎払い面(裏)
すばやく裏に回すのがポイント
裏とは、相手の右側(自分から見て左側)のことをいいます。
裏からの払い面は、表にある剣先を、すばやく下から裏に回して、相手の竹刀を右ななめ上に払い上げます。その勢いで振りかぶり、面を打つ技です。
払って小手(払い小手)
〔練習のポイント〕
右足を前に出しながら、相手の竹刀を裏から小さく強く払って、小手のすいたところを右足からふみこんで打ちます。
◎払い小手(表)
竹刀をもどそうとするスキをねらう小手を打つ際に相手が中段の構えの場合、きまりでは右小手をねらうしかありません。したがって、払うことによって右小手が空くようにするわけです。やはり、一拍子で、払うと同時に右足踏み込んで打つようにします。
※実戦では、裏から払うか、表から払うか、迷ってはいけません。
◎払い小手(裏)
※竹刀のつばに近い部分を払う
裏からの払い小手は、表にある竹刀をすばやく下から小さく裏に回し、それと同時に右ななめ上に強く払い上げて、空いた右小手を打つのです。すばやさが必要です。しっかりと振りかぶって小手を打つことが大切です。
※払い小手の際、小手先の動作にならないように注意しなければなりません。
◎払って胴(払い胴)
〔練習のポイント〕
右足を前に出しながら、相手の竹刀を裏から強く大きく払って大きく振りかぶると同時に、右足を、踏み込んで右胴を打ちます。
※面を守ろうとする瞬間をねらう!
払い胴にも、払い面などと同じように、払い落とすパターンと、払い上げるパターンがあります。
竹刀を払い落とすと相手の胴がかくれてしまうのではないかと思われがちですが、竹刀を上にもどそうとして空けることがあるのです。
◎裏から払い上げる
相手が表からの攻撃に警戒しているほんの少しのスキをねらって、裏から払い上げる技です。
一拍子で、右足を出して払い上げ、大きく振りかぶりながら踏み込んで打つことを心がけます。
※払い落す場合は、振りかぶりが遅れないように注意しなければなりません。